最後の誕生日
こんばんは。講師の飯田です。
今日は、私の知人(享年21歳・男性)の誕生日です。
もう亡くなって6年が経ちます。
彼が最後に書いた日記を皆さんに紹介したいと思います。(本人の了解を得ています。)
彼は3月に胃ガンの宣告を受け、6月に胃の全摘出手術を受けました。
ところが、7月に食道への転移が発見され再手術、もう手の施しようがない状態で、余命は1か月と言われ、その秋に亡くなりました。
<日記>
○月○日に退院出来る様に、申請しました。
次の日が誕生日だから。
もう病院に居ても意味が無いから。
手の施し様が無いから。
僕はいっつも、病院で誕生日を迎えていたから、自分へのプレゼントに。
抗がん剤の副作用で、左目は、ほぼ失明、右目は視力が0.01くらい。
自慢の声はガラガラ、サラサラヘアーは、抜け落ちてしまいましたが。
退院したら、ターミナルケアに入ります。
自分のしたい事を、残りの時間を精一杯に使いたいと思います。
さっきまで、子供みたいに泣いてました。
不安で怖くて。
隠された砂時計の音が聞こえるみたいで。
悔しくて、苦しくて。
無理矢理、死への階段を登らせているみたいで。
悲しくて、寂しくて。
僕が僕でいる意味が、失われていくから。
悔しいな。もっと生きたかった。
まだ詩を書きたかった。
お腹いっぱい、美味しい物を食べたかった。
大声で歌いたかった。昔みたいに走りたかった。
海を見たかった。
ギター弾いたり、お洒落したり、買い物とかドライブもしたかった。
22才の誕生日は、何かあるかな?
本当のお父さんに会いに行こう。
両親にお礼を言おう。弟に本をあげよう。
もっと生きたかったな。
贅沢な我が儘かな。
車椅子や、ベッドやストレッチャーからの景色には飽きたから、
退院したら、何もかもを、目に焼き付けよう。
蝉の声を、沢山聴こう。
儚い所が似ているから。
蛍も見たいな。
雨や太陽を沢山浴びたいな。
後悔、沢山あるから、一つでも少なくしたいな。
感謝、沢山言いたいから、家族と一緒に居たいな。
涙、流したから、沢山笑いたいな。
もうすぐ僕の誕生日
僕の最後の誕生日
お互い無常の命です。
何のための人生か、悔いなき一生を送らねばと思わずにおれません。